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皆さんこんにちは!
一颯合同会社、更新担当の中西です。
前回は鳶職の歴史についてお届けしましたが、今回は現場で働く鳶職人たちが日々意識している“鉄則”についてお話します。
鳶の世界は見た目の派手さや勇ましさだけで語れるものではありません。
そこには、一人ひとりが守り抜いてきた「現場の掟」とも言える“鉄則”が存在します。
鳶職の現場は常に高所。命に関わる仕事であるからこそ、最優先されるのは「安全管理」です。
近年では、厚生労働省の法改正により、2m以上の高所作業には「フルハーネス型墜落制止用器具」が原則義務化されました。ベルトだけの簡易装備ではなく、全身を守る装備が求められています。
朝礼や作業前に「今日の危険」を言葉にして共有するKY活動も重要です。「声を出す」ことで、現場全体の意識も高まり、ヒューマンエラーの防止に繋がります。
鳶職の現場では、「段取り」が仕事の成否を大きく左右します。
材料の位置、吊り荷の順番、作業手順、安全導線…。これらを緻密に想定してこそ、現場はスムーズに動きます。
ベテラン鳶職人は、1日の作業を頭の中でシミュレーションし、先回りして準備を行います。この「段取り力」こそが、職人の力量を示すバロメーターです。
鳶の仕事は、単独では完結しません。
資材を受け渡す、合図を送る、互いに命綱を確認し合う――すべてが「仲間との信頼」によって成り立っています。
高所では会話も制限されるため、手の合図や目線、短い掛け声で状況を伝える訓練も欠かせません。
鳶職人にとって道具は“身体の一部”。その扱い方ひとつに、人柄や仕事への姿勢が現れます。
落とさないように安全帯に道具を括る
毎日使う道具を自分で手入れする
現場が終わったら必ず点検する
こうした“当たり前”の積み重ねが、大事故を防ぎ、信頼を築きます。
鳶職の誇りは、「仕上がり」にも宿ります。
ピシッと揃った足場板
ムダのない溶接や結束
きれいに巻かれたロープ
これらは「誰かが見てなくてもやる」美学の証。その精神が、次の仕事を呼び、信頼を生むのです。
鳶の世界における“鉄則”は、ただのルールではありません。それは、命を守る智慧であり、職人としての信念であり、生き方そのもの。
時代が変わっても、この“誇りの仕事”には変わらぬ重みがあります。そして、その誇りは、今日も現場の空の下で静かに息づいています。
次回もお楽しみに!
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私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。
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皆さんこんにちは!
一颯合同会社、更新担当の中西です。
今回は建設現場の花形ともいわれる「鳶職(とびしょく)」の歴史について、時代を追いながら詳しくご紹介します。
日本の建築史と共に歩んできた鳶職。その長い歴史のなかには、職人たちの誇りと進化の物語が詰まっています。
鳶職という仕事が“職業”として確立されたのは、江戸時代中期ごろ。
江戸の大都市化に伴い、建物の建設・修復に多くの人手が必要となりました。火事が多かった時代、町火消しの一部として鳶職人が活躍し、「火事と喧嘩は江戸の華」といわれるほど、その存在感は抜群でした。
当時、鳶職人は建築の高所作業だけでなく、町火消しとしての役割も果たしていました。理由は簡単、高所作業に慣れていたから。はしごや屋根の上を素早く動けるため、火事場では消火活動の先頭に立ったのです。
このため、法被(はっぴ)を着て纏(まとい)を持った鳶の姿は、江戸の象徴ともいえるほどでした。
明治時代以降、レンガ造や鉄骨構造など、西洋建築の影響が強くなり、鳶職の仕事も変化していきます。
鉄骨を組む「鉄骨鳶」、型枠を組む「型枠鳶」、足場を組む「足場鳶」など、細分化された専門職種が生まれたのもこの頃です。
現代では「とび工」「鳶工」と表記され、建設業の中でも「高所での組立・解体」を専門とする職人として定義されています。
戦後の焼け野原からの復興期、そして東京オリンピックや大阪万博にかけての高度経済成長期には、鳶職人の需要が爆発的に増加しました。
この時期、多くの若者が“腕一本で食べていける”職業として鳶職に憧れ、職人の数も一気に増加。鳶の世界には「口ではなく、背中で語る」文化が根付き、「一人前になるには10年かかる」とも言われました。
現在では、鳶職の仕事は「高所での施工を行う専門職」として、非常に厳格な安全基準と教育が求められます。
高所作業車の操作資格
フルハーネス型安全帯の使用義務
安全衛生教育の徹底
昔ながらの「度胸と経験」だけでなく、「知識とチームワーク」「ルールを守る力」が重視される時代へとシフトしています。
今も昔も、鳶職人の間には独自の文化や伝統が息づいています。
独特の作業着(ニッカポッカや地下足袋)
木遣り(きやり)や纏(まとい)といった伝統行事
「鳶口」「腰道具」といった道具へのこだわり
これらは単なる仕事道具ではなく、「誇り」「伝承」「信念」を象徴する存在。現代においても、職人の魂は途切れることなく、確かに受け継がれているのです。
高所に命を預けながら、人々の暮らしを支える鳶職人。その姿は、今も変わらず「現場の華」であり続けています。
この歴史の重みと誇りを胸に、次世代の鳶職人たちが新しい空を切り拓いていく——それが、この仕事の真の魅力なのかもしれません。
次回もお楽しみに!
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